天蚕農園

収繭

もう五年前になります。長男が少年野球をやっていました。色んなことがなかなか思うようにいかない苦しい時期でした。私は、小学校のグランドで、木の陰に座ってうつむいていました。顔を上げる気になれなかったのです。

そんなときに、ポトリと緑の繭が空から落ちてきたのです。鳥に中身は食べられて繭だけが落ちてきました。見上げると、私が座っていたのは大きなクヌギの木の下でした。

その鮮やかな美しい緑。主張しすぎない、それでいて遠慮もしない色。自然の美しい色。人の心を癒やす緑色。後日、それはヤママユガの繭だと分かりました。そしてそれは飼育できるということも。

その時に、私はこれをやると決めました。うつむいていた私にくれた神様からの贈り物だと。

0からの出発でした。知識もない、経験もない、土地もない、道具もない。

あれから4年です。今日はK村の畑の収穫でした。目指したのは500個。
穫れたのは、138個でした。

まだ、幼虫もいます。きっと見落とした繭もあります。まだ、Y町の畑も残っています。それでも、到底目標には届かない。

Mちゃんが、慰めてくれ励ましてくれました。実際、Mちゃんと畑で頑張った時間はとても楽しく宝のようでした・・・。でも・・・

落ち込んだまま車に乗りました。今日も暑い日でした。

しばらく車を走らせていて、ふとあることに気づき総毛立ちました。
飼育を始めた頃、この籠いっぱいに収穫するのが夢でした。この籠いっぱいに収穫して満面の笑みで写真に写るビジョンを毎日眠る前に心に強く、強く思い描いて眠りました。

まさにこの写真そのものでした。

もう、夢は完全に叶っていたのです。

次は新しいビジョンをこの心に鮮明に描き出す段階に来ていたのです。

「君の名に自信と誇りを」 垂ネーム工房 五岳館

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